50Mクリコン (Xtal Converter) by Tube on PCB

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真空管でクリスタルコンバータを作ろう
               (第2段)


                                2014/5 By JH3OZA
                             東京都大田区 桶谷 保



<はじめに>
 10年ほど前からマイクロ波の通信を行うために部品を集めて無線機を作ってきましたが、
少し飽きがきてしまい、それならば低い周波数帯へと始めたのが、真空管ラジオの製作でした。
今回、第二弾として発表するのが7ピンの真空管を用いたクリスタルコンバーターです。
以前製作した電池管ラジオで学んだ工夫や設計を生かし作ることにしました。
また、つぎに紹介するであろうプロダクト検波器も、このクリコン基板で作ることができるように
あらかじめ、パターン設計時に考慮ておきました。
!多少ジャンパー線が必要になるかもしれませんが、面白いと思い組み込み作りました。!
また、この基盤で少し工夫すれば中間周波増幅や低周波増幅器も作れます。
時間があればやってみたいと思います。
それでは、今回チャレンジした内容を発表します。



<目標>
@ 親機の受信周波数の決定を自由度があるようにする。
A 真空管は、入手しやすいラジオ用真空管を用いる。
B 金属加工をできるだけ減らすためプリント基板でつくる。
C B電源はDC+150Vとする。
D できる限り基板を小さく、また、部品点数を簡素化する。


<特に悩んだところは>
@デバイス種類(ラジオ用真空管の利用)
A作りやすさ。(1日作業で完成できる)
Bいろんな真空管ソケットに対応する(一般用やピン式、PCB用等)
C自励発振をしないような部品配置
Dコイルは、自作(空心タイプ)でも市販品でも可


<性能目標>
@ 〜50MHzのバンドまで
@ 変換利得は、20dB(目標)
B 真空管は、7ピンのラジオ用2管
C プリント基板で簡単に製作
D コイルは、空心か、トランジスター用10kを用いる


<検討課題>
1.真空管コンバーター回路の検討
2.プリント基板のパターン作成
3.部品の配置の検討(コイルやトリマ)
4.オーバートーン発振の強度確認
5.部品(抵抗・コンデンサー・コイル)の定数


PCB Pattern



<ブロック構成>
ラジオ用真空管を用いたクリスタルコンバーターで、高周波増幅には、6BA6、
ミキサーと局発には、6BE6 計2本を用いた構成です。
希望受信周波数は、L1+TC1 と L2+TC2で決定し、局発は中間周波数との
差で水晶発振することができる回路です。
また、L3+TC3は、局発のXtalと同じ周波数で共振させ、中間周波は、
IFTとC13により決定する。
たとえば、受信周波数:50.5MHz、中間周波数:7.5MHzとした場合、Xtalは、43MHz.となる。

<回路図>


0.02μFのコンデンサーは、0.01μF〜0.1μFの容量の物であればOK。
C13のコンデンサーは、IF周波数によりIFTとの兼ね合いにより調整が必要です。

<試作品のコンバーター>


<特 徴>
@ 勉強しながら製作ができる

A 真空管の作る実感が味わえる。

B 機械加工が必要なくラジオパーツで作る

  <製作について>
 ・部品点数 (抵抗 7本、コンデンサー9本、ソケット2ヶ、空芯コイル4ヶ、IFT10k 1ヶ
  Xtal 1ヶ、トリマー 3ヶ)。

部品一覧


 ・次に、回路図と部品配置図を参考に部品を取付けて半田付けする。
 ・抵抗は、熱くなることはありませんが、基板より浮かせて取付け。
  また、異常発振がないようにコイルL1は水平、コイルL2は垂直方向を取付け、すべての部品を
  取付けが終了したら、間違いか再確認する。
  コアー入りボビンの使用も考慮しました。
<電圧のチェック>
 ・真空管を取付けないで、A電源を接続し真空管ソケットの3番、4番Pin間にヒ―タ電圧がかかって
  いることを確認し、次に+B電源を接続し真空管ソケットの5番、6番とGND間にB電圧がかかって
  いるか、それ以外の端子に電圧がかかっていないか確認しておいてください。もし、異常な電圧が
  かかっておれば部品の取付けミスが考えられる。
真空管を差し込んで動作させてプレートとGND間、スクリーンとGND間の規定値内であるかの確認を行うこと。

  また、収容ケースに収める場合は、真空管の発熱に考慮すること。
  入力出力端子は、収容ケースにBNC接線等を取付ける。
<調整方法>
   @ TC3トリマーにより、局発信号強度を最大点に調整する。
   A ANT側に50MHzの信号(−50dBm程度)を入力する。(マーカー)
   B TC1、TC2、TC3トリマーと、T4コアは、 IF 7MHzの信号を最大になるよう調整する。
<豆バリコンの取付け>
  外部に豆バリコンを P1-GND, P2-P3, P5-GND間に取り付けて受信周波数ごと調整するとベストである。
 
<部品を取り付けた状態>
中間周波を2M帯(Lo=48M)にしたものと6M帯(Lo=44MHz)にしたものです。
 @中間周波数を2MHzにしたもの




 A中間周波数を6MHzにしたもの


中間周波を7MHzとしたもの(Lo=43MHz使用)
 (IFトランスは、10.7MHzのボビンを使用できる。外部に60pF程度の
 コンデンサーを取付ることで7MHzに共振させることができる。)
 
 
 

 電源装置とつないだ状態
 

<性能>
@ A電源:6.3V、B電源:150V 13mA
A 周波数:50MHz帯、帯域巾:±100kHz、
B 変換利得:およそ <20dB
C 寸法 10.5cm x 6.5cm x 1.6mm


おまけ
<シャーシ取付用真空管ソケットの利用>

プリント基板用真空管ソケットを利用せずに、基板に穴あけ加工して一般のソケットを
付けることができます。
(7ピンソケットの大きさに加工しやすいように小穴が開けられている)
基板にソケットの穴をあけた状態


もしピン配置の違う真空管を利用する時に便利です。
6BA6+6BE6の代わりに1T4+1R5を使って動作させてみます。
この場合は、周波数はHF帯になるかも!
ソケットを取り付けた状態


<感想>
この製作にあたり近くに住んでいるOM JA1DWO鈴木さんには、お世話になり感謝しております。
By JH3OZA
2014/5/1

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