PLL Local Oscillator 10GHzの製作 (ADF5355を利用)

2017年6月
JH3OZA



はじめに

 アナログデバイスの(ADF5355)を用いたローカル発振器を製作いたしました。
このデバイスは、VCOがIC内部に内蔵されており面白いICです。
発振周波数は、3400MHz〜6800MHzとその2倍と 分周器(2,4,8,16,32,64)が内蔵されており
発振できる周波数は、54MHz〜13600MHzとなります。
まずは、ICを入手し、プリント基板を作成して完成させましたので結果を報告します。




<構成>
1.VCO PLL IC : アナログデバイスADF5355
2.Control IC : PIC 18F24j10 or
3.L C D : SC1602BSLB etc
4.Ref OSC : 16.8MHz (12.8 or 10.0M)(125M)
5.CH_SW : Push SW

<回路図>

<PICのプログラム>

プログラムは、以前作ったADF4351のものを変更して作ってみました。

レジスターの数が28に増えていますが、以前のものを改良してそのまま使いました。
たとえば、Register 0のプログラムの一例です。
bits1()とかbits4,bits10()は、シリアル信号に変換するコマンドです。

///////////////////// 
// Register 0 // 
///////////////////// 
k=0;B=0; bit10=0b0; bits10(); //Reserved
k=0; bit1=AC1; bits1(); //1bits AC1
k=0; bit1=PRESCALER; bits1(); //1bits PR1
k=0;B=0; bit16=INTVALUE; bits16(); //INTEGER VALUE
k=0;B=0; bit4=0b0000; bits4(); //Control bits 0000


<ADF5355のレジスター値の計算例>


<製作時の風景と測定結果>
1. プリント基板の製作
 プリント基板のデザインを作成し、基板作成業者に依頼しました。


測定結果
  周波数:9720MHz、スパン100KHz時


  周波数:9720MHz、スパン10MHz時


  周波数:9720MHz、スパン15GHz時


9720MHzフェーズノイズ



結果
 フェーズノイズが、あまりよくない結果となりました。
基本発振の6.8GHzまででもあまりよくありませが、ナローのFM変調では使用可能です。
フェーズノイズをこれ以上抑えるのは非常に難しく、フィルターか、基板の(デザイン)か、
変更する必要があるようです。"笑"
また、10GHz以上の周波数でも帯域の広い映像とかで使用するには問題ないようですが、
一度、逓倍して使えるか試してみます。



中華製 ADF5355のEvaluation-board試験




リファレンス発振器は、25MHzのTCXOが付いていますが、
あまり周波数精度が、よくなく数kHzもズレています。
外部から供給した方がよいようです。

追試  8逓倍した77GHzの信号比較(DRO発振、ADF5355発振、Wiltron 6769B SG発振)
 1)<原発9720MHz DRO発振器(DRO 10.65GHz + MCA 930MHz)の場合>
   
  ・スペアナ表示レベル:0.7dBm
  ・ミキサー変換ロス :75GHzで-6dB
  ・製作した77GHz無線機の出力:+6.7dBm(4mW)

 2)<原発9720MHz ADF5355発振(Ref:26M)の場合>
  

   <原発9720MHz ADF5355発振(Ref:125M)の場合>
   
   

  リファレンス発振器を26MHzから125MHzに変更した場合、フェイズノイズが改善されました。
  (LPFの再調整が必要です。)

 3)<原発9720MHz Wiltron 6769B発振の場合>
  

やはり、ADF5355の原発よりDRO発振の方がよいことがわかる。





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