コンパクトな 47GHz無線機 製作メモ
  

                                          2026年4月吉日                                                  JH3OZA
工事中
                                            
 はじめに
  小型の47GHz無線機を久しぶりに製作することにしました。今回は、各ブロックを作りながら
 不具合が発生した場合は順次作り直しすることにします。
 最初に、無線機のブロックダイアグラムを作成し、それに沿って各ブロックを製作します。

 1)無線機のブロックダイアグラム
  ・本体内部にFM変調回路と受信復調回路を内蔵し、送信はダブル、受信はトリプルスーパー、
   周波数は第一、第二ローカルをPICで制御して可変させる。
  ・送信と受信のアンテナ切替は、導波管のサーキュレータを用いる。
  ・外部IFを設け親機(430MHz・ISDBt用)を接続できるようにします。

 2)設計
 <基本構想 PICプログラム>
 ・電源ONで受信周波数を47.090GHzで動作させますが、CWIDプッシュスイッチを押しながら電源ONさせると
  47.080GHzで開始するようにもします。
 ・受信時、ロータリーエンコーダーを用いて可変すると1kHz単位、エンコーダーのプッシュスイッチを押しながら
  可変すると10kHz、またCWIDプッシュスイッチを押しながら可変すると50kHz、同時に2つ押しながら可変すると
  100kHz単位で変化するようにします。
 ・送信時、最初に送信した周波数をメモリに記憶させ、受信時周波数を可変させても送信周波数が最初の周波数で
  送信できるようにします。
 ・無線機本体のみでFM変調や復調ができるようにし、外部IF端子は中間周波(IF)を取り出せるようにします。
  この外部IFは、430M親機(SSB,CW)やデジタルテレビISDBt(47.085GHz)を可能にするためのものです。
 ・送信時、CWIDプッシュスイッチを押すとID(F2A)を発信するようにします。

 <配線図 & 配置図>
    

 3)50GHz用TRXユニット NardaWest 50GHz TX RX Converter Units
  NardaWestの送受信用コンバーターを入手しました。
 スペースを考慮にて、送受信コンバーターを2段重ねにし、入出力側にNECのパソリンク50から
 取り外したサーキュレータを使い送受切替を行うこととします。
  また、この2段重ねにすると電波の偏波面が水平になるため、出力側に導波管ツイストを用い90°回転させ
 垂直偏波とすることとします。
 
 この送受信コンバーターの47GHzの性能を調査

 TX module (47.1GHzにて)      RX module (47.1GHzにて)
 (供給電源 Vcc=6.3V Id=680mA)    (供給電源 Vcc=6.3V Id=730mA)
 Lo(-10dBm), IF(0dBm), OUTPUT    RFin(-55dBm),Lo( -10dBm)
  10.900GHz  3.50GHz  18dBm     IF (GHz), IF(dBm)
  11.025GHz  3.00GHz  19dBm★    1.34GHz  -64dBm
  11.150GHz  2.50GHz  19dBm★    1.54GHz  -55dBm
  11.275GHz  2.00GHz  19dBm★    1.74GHz  -49dBm
  11.400GHz  1.50GHz  18dBm     1.94GHz  -42dBm★
  11.475GHz  1.20GHz  17dBm     2.14GHz  -40dBm★
                         2.34GHz  -43dBm★
                         2.54GHz  -43dBm
                         2.74GHz  -49dBm
 47GHz帯で、IFが2.0GHz〜2.5GHzにおいて、送信出力およそ<100mW、受信(ゲイン)約+15dBでした。
 今回のサーキュレータ損出が大きくLoss 5dB程あり改善する余地があります。

 4)ローカル発振器の製作
 4−1)第1と第2ローカル発振器をテストするプログラム作製治具
 ・RF 47.090000GHz時 ロータリーエンコーダーとプッシュスイッチを用いて 1k,10k,50k,100kHz単位で可変
   TX: Lo1 5.590GHzx8, Lo2 2.370GHz, RX : Lo1 5.580GHzx8, Lo2 2.395GHz, IF : 55MHz(INT)
 ・RF 47.090000GHz時 外部IF
   TX : Lo1 5.571GHzx8, Lo2 2.090GHz, RX : Lo1 5.621GHzx8, Lo2 1.69GHz IF : 432MHz(EXT)
 ・RF 47.085GHz ISDBt時 外部IF
   TX : Lo1 5.575GHzx8, Lo2 1.718GHz, RX : Lo1 5.586GHzx8, Lo2 1.63GHz IF : 767MHz (EXT)

 
   < PICプログラム試作器>

  PLL発振器を2ヶ使用しSPI方式でDATAとCLOCKを兼用、周波数はロータリーエンコーダーで可変、
 またI/Oポートを節約するためブザーをエンコーダのスイッチと兼用、LCDディスプレーはi2c接続とします。
 (PICは、低価格の18F24J10 を使用、内部メモリのプログラム使用容量94%に達しました。)


 4−2)ローカル発振器(HMC833, 30MHzオーブン発振器, PIC)
 
 Vcc=8V, Icc=<500mA 
  
 原発(1.884GHz)を発生させ24逓倍し、さらに原発とミキシングする。
 
 4−3)発振器(ADF5355,MAX2870)を2ヶ内蔵した局発の製作
  自作した90x100x25mmのケースに入れ内部配線しました。
 
    供給電源 +5V 500mA

 信号スペクトルとフェイズノイズの測定
 ・第一局発
 
 :第二局発
 

   今回は、2ヶの発振器を製作しました。フェイズノイズの良い(4-2)のHMC833を使いたいのですが、
  逓倍器やプログラムの作製が簡単な(4-3)の方を使うこととします。


 5)受信中間周波 2400MHzコンバーター
 5-1)2400MHz高周波アンプの製作(第2中間周波)
  マキ電機製の基板を使い低ノイズの20GHz用GaAsを用いて作ることにします。
 
 Gain +18dB/2400MHz, +19dB/5760MHz 5.7GHz帯は、2.4Gフィルターでカットします。

 5−2)2400MHz IF受信ミキサーの製作
  IAM91563 (AVAGO)を使用した受信ミキサーです。  (AVAGO データー資料より)
 
 供給電源 +3V 10mA程度、ローカル信号入力は0dBm程度で済む。その時の変換ロスは、+数dB程度


 5−3)2400MHz(BPF)フィルター RLC製 F14101 使用
 


 5−4)第1中間周波数 (55MHz) FM復調器 (FM Demodulator)の製作

 自作基板に必要な箇所のみ部品を取付け
  MC3371使用                       IF 460kHz特性
 
  47GHz帯ですので広帯域(460±10kHz)フィルター使用


 5−5)2400MHzの受信コンバーター
 発振器と同じケース(90x100x25mm)を作り製作しました。
 
    供給電源 +8V 100mA

 6)送信中間周波 2500MHzコンバーター
 6−1)2500MHz(BPF)フィルター
    2GHz付近の手持ちフィルターを探したところ既製品の2.5GHzが見つかり利用することにします。
 

 6-2)2500MHz送信コンバーター全容
     このコンバーターは、Lo信号(2065MHz)とIF(435MHz)をミキシングし2.5GHzを作り出す方法と、
    逓倍方式でも動作するようにするため、IF信号なしでローカル信号(2500MHz)を入力することで、
    スルーして出力に2.5GHzの信号が表れるようにしました。
    

     IF(435MHz)の信号を出力制限するためにリミッターを設け、また送信時の切替用にバイアスティ
    (Bias Tee)ユニットを儲けています。
    
    供給電源 +5V 30mA

 7)マイクアンプの製作
   本体の内蔵コンデンサーマイクを設け外部マイクとミキシングして信号を増幅し、リファレンスのオーブン
  にFM変調をかけています。
    


 8)受信感度(S)・出力(P)メーター
   受信感度(Sメーター)は、FM復調IC(MC3371)のRSSI端子から取り出しさらに増幅してメータに表示、
  送信パワーは、ANTに接続する導波管内に検出用ダイオード(1SS99)を取付けその出力電圧を増幅して、
  メータに表示させています。(感度が悪い1SS99を使うのが好まないが取扱し易い)
 


 9)電源回路
   供給電源は、7.4V用モバイルバッテリーを用い、内部基幹電圧をコンバータ(TPS61088)で昇圧し+8Vとします。
  50GHz用送受コンバーターは、制御端子付きの4端子(NJN2396F63)、PLLとPIC回路は三端子+5V、FM復調と
  オーディオ回路は4端子R+6.3Vを、それぞれPICで制御しています。
 

 10)ケース(140x160x180mm)作り
   LCD表示器や、Sメータ-、ロータリーエンコーダーの配置や操作性を考慮し、取付け場所を決め、
  各ブロックが入るように配置し、また放熱も考えパンチングメタルのアルミ板を使い、切断
  折り曲げ、穴あけ加工をして製作しました。
  

 11)組立
     
 


 12)性能


 13)感想
   初期の設計には入れていなかった外部IFを、後日役に立つと思い欲張って設けてトランスバーターとしても働くように
  作りました。それは、SSBやCW対応できる430MHzの親機やISDBtデジタルテレビに対応するために設けたものです。
  そのため、取扱う部品が少し多く複雑になり、計画していた消費電力よりも大きく(5V,4A)20Wとなってしまい、あまりにも
  効率が悪いためDC/DCコンバーターの供給電圧を5V->7.4Vに上げ、16Wまで下げる改善を行いました。
   また、コンパクトに作ったつもりでしたが、ちょっと大きく重く総量2.9kgになり反省する点が多くなりました。
   さらに、アンテナ切替に用いたサーキュレータが思ったより通過損出(-5dB程)が出て調整しきれなかったことが残念でした。
  次回製作する時は、機械式のリレーを用いることにします。   以上


By JH3OZA


・<ご参考>
 1)77GHz トランシーバー2号機の製作メモ        2)134GHz トランシーバーの製作メモ
   
 3)249GHz トランシーバー2号機の製作メモ
   

By JH3OZA   2026年4月


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