発振周波数を変更しロックさせた出力波形
I) 10.5GHz発振器の特徴
1)出力端子が2ヶあり、その出力はおよそ+10dBm
2)周波数安定度が抜群によく47GHz使用時でも数KHz以内
3)サンプラーを用いた(PLL)構成で発振周波数をロックさせている。
Refリファレンス発振器(TCXO)が、100MHzであるが
原発が50MHzで発振させいるらしく、50MHzピッチでロックする
もし、安定度をもっと要求するなら外部にオーブン入りの発振器を取付け
TCXOの代わりとすればよい。
4)大きな改造もせず可変ねじを回せば(10.35GHz~10.75GHz)の範囲で
周波数が、50MHzピッチで変更可能です。
II) 電源端子は、
1: +9V, 2:+5V, 3:-5V, 4: アラーム端子,5:GND, 6:GND
III) 改造する前の事前チェック
10.5GHzでロックしていることを確認しておいてください。
ロック外れていると、アラーム端子に電圧(Hi)が出ています。
そのときは、調整ネジを回してロックすることを確認しておいてください。
IV) 周波数の変更のポイントについて(10.5GHz → 11.45GHz)
(11.45GHzは、調整ネジを回すだけでは、その目的周波数まで
引き上げられません。下記のような小細工が必要になります。
記
1)DRO(誘電体)の大きさの変更(小さくすれば、周波数は上がる)
2)DROの取付位置をIC側に近づける
3)DROの発振をフィードバックさせる所でマッチングをとる。
4)誘電体発振子をBSやCSコンバーターから手に入れて入替えてみる
これは、とても有効で、案外 面白い周波数でロックします。
V) 各周波数のDROの種類(参考)
VI) 改造方法
1)最初に誘電体(DROドーナッツ型の物)の加工
DROが10.5G用に作られており、DROの外周を小さく削り取る
少しづつ削るたびに、発振周波数を確認してください。
(DROの形は気にしなくてもよい)
11.4GHzあたりで発振するように削ってください)
(注意、削りすぎると発振しなくなります。)
* DROを削る方法 *
10.5GHz用のDROを少しずつ回りをダイヤモンド鑢で削る。
当方は、削るのでなくニッパーで少しづつ角を割りました。
いびつな形になっても、発振はしますので安心してください。
もし、不幸に削り過ぎた場合は、BS用DROに交換してチャレンジし、
みてください。
2)DROの位置は、既存のねじ穴よりICの方に近づける。
必ず11.4GHzあたりまで発振周波数が上がるはずです。
3)ケースの調整ねじは、10.5GHzで発振していたあたりがよい。
4)DROと土台(白いワッカ)は、ネジ止めしないで、手でライン上を
IC側に近づけ、位置を変えながら調整してみてください。
(発振テストするときは、ケースの蓋を取り付けて行ってください)
5)11,4GHzで発振しましたら、ふたを閉め調整ねじを出し入れし
調整ネジを右に回したら発振周波数が上がることを確かめておく。
調整ねじを押し込んで周波数が下がる時は、DROの位置がよくない
その場合は、フェーズロックすることがない。
(DROの位置が、IC側に近づけ過ぎている時に起こるので少し離す)
何度も 4) 5)を繰り返しても11.45GHz付近で発振ができない場合
・新たなDROを探してください。使われなくなったBSやCS
コンバータから取り外すのが一番よい。
私は、TDKのいらなくなったコンバーターからDROを抜き取り
使用しています。
・この状態(11.45G付近で発振する)まで至らない時はちょっと
難しいかもしれません。
・この場合は、発振用ICの特性にも問題がある可能性もあります。
元々、発振ラインは、10.5GHzで作られたものですから!!!
!! 再度繰り返し挑戦してもできない場合は、あきらめてください。!!
ここから第二ステージです。
6)PLLのフィードバック側入力部分のマッチング調整。
(ホームページの写真内に記入箇所を参照)
・DROの発振信号を取り入れているところにワイヤーを取り付けDROに近づけて
調整してください。
・DROの位置、その大きさや調整ネジが、互いに影響し合い発振周波数を
決定しているためカットアンドトライが必要になります。
** DRO発振器出力とGaAs(HEMT)の入力マッチングを取り
11.45GHzの信号強度を最良にしサンプラーに供給する。
信号レベルが最大になるところが一番よい。
** マッチングは、導線ワイヤー(0.5mmφ程度)でよく、
私は、蓋を開け閉めし空間で何度も何度も位置や長さを変え
調整しました。このやり方を空間マッチングと呼ぶでいます。
** 根気よく11.45GHzでロックするところを探してください。
** 簡単には、ロックしないと思ってください。!!
** ちょっと根気が要るかもしれません。
7)<温度特性>
フェーズロックしても温度の変化でロックが外れることがあり
その原因は、周波数のロック範囲に余裕がないためです。
DRO付近にバリキャップのラインを少しDRO側に細いワイヤーで
伸ばしてみて空間マッチングをとってみてください。
バリキャップの容量変化をDROに伝える強度が変化します。
8)<設計外の機能>
本来、この発振器の機能には50MHzステップでフェーズロックがかかることは、
想定していない。逆にかからないようにフィルターで切っている。
たげど、漏れ信号のレベルが高いものがありロックするものがある。
<11.45Gのロックをあきらめきれない方>
ここまで調整をしても思い通りロックしない。しかし、DRO発振周波数が、
11.45G付近で信号があらわれている方は、まだ望みを捨てないでください。
100MHz(TCXO)のリファレンス発振器の漏れ信号が少なくロックしないのかも
しれません。100Mのリファレンス発振器を50MHzの物に交換してみてください。
50Mがない場合は、1/2倍数の25MでもOKです。
当局は、11.45GHz(47G用)、11.2GHz(135G用)、
9.56GHz(77G用)を作ってみました。
この11.45GHzの発振器は、非常にすくれもので47GHzローカルとして1年を
通じて±5KHz内で運用可能です。
ただし昨年の冬は、ロックはずれを起してしまいました。
温度特性をよくするために発振器自体にポジスターを3ヶケースの表側に
貼り付けアルミケースを暖めました。それ以降、ロックはずれがなくなり
順調に動作しております。
10.5GHzの発振器をお持ちの方は、是非周波数の変更に挑戦してみてください。
また、この資料が、皆様のご参考になれば幸いです。
By JH3OZA 2006年8月15日