業務用ローカル発振器
  (10.5GHz->11.45GHz)の利用
By JH3OZA
(東京都大田区 桶谷 保)  2006年3月

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業務用に作られた発振器を入手しましたので、47GHz用のローカル発振器に
変更してみました。


10.5GHzのローカル発振器の写真

 発振周波数を変更しロックさせた出力波形 


I) 10.5GHz発振器の特徴
1)出力端子が2ヶあり、その出力はおよそ+10dBm
2)周波数安定度が抜群によく47GHz使用時でも数KHz以内
3)サンプラーを用いた(PLL)構成で発振周波数をロックさせている。
   Refリファレンス発振器(TCXO)が、100MHzであるが
   原発が50MHzで発振させいるらしく、50MHzピッチでロックする
   もし、安定度をもっと要求するなら外部にオーブン入りの発振器を取付け
   TCXOの代わりとすればよい。
4)大きな改造もせず可変ねじを回せば(10.35GHz~10.75GHz)の範囲で
   周波数が、50MHzピッチで変更可能です。

II) 電源端子は、
1: +9V, 2:+5V, 3:-5V, 4: アラーム端子,5:GND, 6:GND

III) 改造する前の事前チェック
 10.5GHzでロックしていることを確認しておいてください。
 ロック外れていると、アラーム端子に電圧(Hi)が出ています。
 そのときは、調整ネジを回してロックすることを確認しておいてください。

IV) 周波数の変更のポイントについて(10.5GHz → 11.45GHz)
   (11.45GHzは、調整ネジを回すだけでは、その目的周波数まで
   引き上げられません。下記のような小細工が必要になります。
               記
1)DRO(誘電体)の大きさの変更(小さくすれば、周波数は上がる)
2)DROの取付位置をIC側に近づける
3)DROの発振をフィードバックさせる所でマッチングをとる。

4)誘電体発振子をBSやCSコンバーターから手に入れて入替えてみる
  これは、とても有効で、案外 面白い周波数でロックします。

V) 各周波数のDROの種類(参考)


VI) 改造方法
 1)最初に誘電体(DROドーナッツ型の物)の加工
   DROが10.5G用に作られており、DROの外周を小さく削り取る
   少しづつ削るたびに、発振周波数を確認してください。
   (DROの形は気にしなくてもよい)
   11.4GHzあたりで発振するように削ってください)
   (注意、削りすぎると発振しなくなります。)

* DROを削る方法 *
   10.5GHz用のDROを少しずつ回りをダイヤモンド鑢で削る。
   当方は、削るのでなくニッパーで少しづつ角を割りました。

   いびつな形になっても、発振はしますので安心してください。
   もし、不幸に削り過ぎた場合は、BS用DROに交換してチャレンジし、
   みてください。



 2)DROの位置は、既存のねじ穴よりICの方に近づける。
   必ず11.4GHzあたりまで発振周波数が上がるはずです。
 3)ケースの調整ねじは、10.5GHzで発振していたあたりがよい。
 4)DROと土台(白いワッカ)は、ネジ止めしないで、手でライン上を
   IC側に近づけ、位置を変えながら調整してみてください。
   (発振テストするときは、ケースの蓋を取り付けて行ってください)
 5)11,4GHzで発振しましたら、ふたを閉め調整ねじを出し入れし
   調整ネジを右に回したら発振周波数が上がることを確かめておく。
   調整ねじを押し込んで周波数が下がる時は、DROの位置がよくない
   その場合は、フェーズロックすることがない。
   (DROの位置が、IC側に近づけ過ぎている時に起こるので少し離す)

   何度も 4) 5)を繰り返しても11.45GHz付近で発振ができない場合
  ・新たなDROを探してください。使われなくなったBSやCS
   コンバータから取り外すのが一番よい。
   私は、TDKのいらなくなったコンバーターからDROを抜き取り
   使用しています。

  ・この状態(11.45G付近で発振する)まで至らない時はちょっと
   難しいかもしれません。 
  ・この場合は、発振用ICの特性にも問題がある可能性もあります。      
   元々、発振ラインは、10.5GHzで作られたものですから!!!     
  !! 再度繰り返し挑戦してもできない場合は、あきらめてください。!!

ここから第二ステージです。
 6)PLLのフィードバック側入力部分のマッチング調整。
   (ホームページの写真内に記入箇所を参照)

  ・DROの発振信号を取り入れているところにワイヤーを取り付けDROに近づけて
   調整してください。

  ・DROの位置、その大きさや調整ネジが、互いに影響し合い発振周波数を
   決定しているためカットアンドトライが必要になります。

  ** DRO発振器出力とGaAs(HEMT)の入力マッチングを取り
11.45GHzの信号強度を最良にしサンプラーに供給する。
信号レベルが最大になるところが一番よい。
  ** マッチングは、導線ワイヤー(0.5mmφ程度)でよく、
私は、蓋を開け閉めし空間で何度も何度も位置や長さを変え
調整しました。このやり方を空間マッチングと呼ぶでいます。

  ** 根気よく11.45GHzでロックするところを探してください。
  ** 簡単には、ロックしないと思ってください。!!
  ** ちょっと根気が要るかもしれません。

 7)<温度特性>
 フェーズロックしても温度の変化でロックが外れることがあり
 その原因は、周波数のロック範囲に余裕がないためです。
 DRO付近にバリキャップのラインを少しDRO側に細いワイヤーで
 伸ばしてみて空間マッチングをとってみてください。
 バリキャップの容量変化をDROに伝える強度が変化します。

 8)<設計外の機能>
 本来、この発振器の機能には50MHzステップでフェーズロックがかかることは、
 想定していない。逆にかからないようにフィルターで切っている。
 たげど、漏れ信号のレベルが高いものがありロックするものがある。
 <11.45Gのロックをあきらめきれない方>
 ここまで調整をしても思い通りロックしない。しかし、DRO発振周波数が、
 11.45G付近で信号があらわれている方は、まだ望みを捨てないでください。
 100MHz(TCXO)のリファレンス発振器の漏れ信号が少なくロックしないのかも
 しれません。100Mのリファレンス発振器を50MHzの物に交換してみてください。
 50Mがない場合は、1/2倍数の25MでもOKです。


 当局は、11.45GHz(47G用)、11.2GHz(135G用)、
     9.56GHz(77G用)を作ってみました。
 この11.45GHzの発振器は、非常にすくれもので47GHzローカルとして1年を
 通じて±5KHz内で運用可能です。
 ただし昨年の冬は、ロックはずれを起してしまいました。
 温度特性をよくするために発振器自体にポジスターを3ヶケースの表側に
 貼り付けアルミケースを暖めました。それ以降、ロックはずれがなくなり
 順調に動作しております。

 10.5GHzの発振器をお持ちの方は、是非周波数の変更に挑戦してみてください。
 また、この資料が、皆様のご参考になれば幸いです。
 
By JH3OZA   2006年8月15日


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